弁護士と行政書士の役割の違い
インターネットで交通事故の専門家をお探しの際,弁護士のホームページだけでなく,行政書士のホームページも多く見られます。
そのため,当事務所でも稀に「弁護士と行政書士はどう違うのですか。」「弁護士と行政書士の,どちらに相談すべきですか。」といったお問合せをいただくことがあります。
まずは,下の表をご覧ください。
業務内容 |
弁護士 |
行政書士 |
書類作成 |
○ |
△(※) |
示談交渉 |
○ |
× |
調停 |
○ |
× |
訴訟 |
○ |
× |
※書類作成について,弁護士は内容の是非までアドバイスできますが,行政書士は内容の是非まではアドバイスできません。行政書士に契約書作成を依頼する場合には,依頼者がどういう内容の契約書にしたいのかを予め確定させておかなければなりません。
交通事故の事件処理のポイント
大きく分けると,次のような2つの要素があります。
1つ目は,被害者から事故態様や治療状況などを伺い,最善と思われる解決方法をアドバイスすること(法律相談)
2つ目は,その解決方法に沿って実際に交渉・裁判を行い,適正な賠償金を請求すること(代理活動)
です。
行政書士の業務に法律相談は含まれません
交通事故事案では,まず法律相談が必要になります。
弁護士の職務は,法律相談・裁判・交渉・契約書作成などの法律事務全般です(弁護士法第3条)。つまり,弁護士の業務範囲には法律相談が含まれています。
他方,行政書士の業務範囲に法律相談は含まれません。行政書士は,書類作成に必要な範囲内では依頼者の相談に乗ることができますが,それは法律相談ではありません。
行政書士は代理人として交渉・裁判ができません
法律相談の結果,解決方針が決まったら,弁護士は依頼人の代理人として活動します。
もちろん,保険会社の提示額が低ければ,代理人として,適正な金額となるよう粘り強く交渉しますし,裁判で解決すべき場合には裁判を行います。
他方,行政書士は,少なくとも紛争性がある案件は業務範囲に含まれません。
つまり,加害者や保険会社と争いがある事案(・・・交通事故では概ね紛争性があります・・・)について,行政書士は依頼者の代理人として交渉や裁判を行うことができないのです。
弁護士でない人(会社も含みます)が,法律相談や示談交渉など法律事務を扱うと,法律で例外的に認められていない限り,刑罰に処せられる可能性があります。
インターネット上では,行政書士があたかも代理人として交渉して賠償金を獲得できるかのような宣伝を散見しますが,それらは法律違反になる可能性がありますので,注意が必要です。
交通事故は,弁護士にお任せください。