(1)学術的・医学的定義
脳損傷に起因する認知機能障害全般。
(2)行政的定義(厚生労働省)
認知機能障害の中で,失語症と介護保険適応となる認知機能障害を除外したもの。
(3)交通事故的定義
頭部外傷により意識障害を負った者が,治療の結果意識を回復したが,意識回復後に認知障害
(記憶障害等)と人格変性を生じ,社会復帰が困難となる後遺障害【リーガル・プログレッシブ
・シリーズ「交通事故関係訴訟」】
「低次脳機能(本能行動:食べる,見る,掴む,走る)」の対義語である「高次脳機能(創造行
為:話す,判断する,考える,学習する)」を司る連合野の障害。
⇒外見上は分かりにくく,本人の自覚がない場合がある(見えない障害)。
⇒通常のMRIでは損傷を確認できない場合がある。
(1)症状固定時期
医学的に外傷後脳室拡大(外傷が原因で脳が損傷することや出血などによって脳室が拡大する
こと。脳室拡大に伴い,脳実質(本体)が圧迫され脳萎縮する。)は数か月で完成するが,リハ
ビリによる改善の可能性を考慮し,1年~2年程度となる(高齢者は6か月程度)。
(2)認定機関
脳外傷による高次脳機能障害の残存を疑わせる事案については,特定事案として,専門的知見
を有する医師等による審査体制(高次脳機能障害専門部会)により認定作業が行われている。
(3)後遺障害認定
①1級1号(別表Ⅰ),②2級1号(別表Ⅰ),③3級3号(別表Ⅱ),④5級2号(別表Ⅱ
),⑤7級4号(別表Ⅱ),⑥9級10号(別表Ⅱ)が認定対象となる。
(1)意識障害があること
昏睡~半昏睡で開眼・応答しない状態(JCSが3桁、GCSが8点以下」)が少なくとも6
時間以上継続【びまん性軸索損傷=頭部外傷のうち、受傷直後から6時間を超えた意識消失があ
る場合】
健忘症あるいは軽度意識障害(JCSが2桁~1桁、GCSが13点~14点)が少なくとも
1週間以上継続
(2)画像所見があること(いずれか)
・受傷直後の脳内の点状出血痕などのびまん性軸索損傷を示唆する画像所見
・脳挫傷、頭蓋内血腫などの局在性脳損傷を示す画像所見
・脳室拡大・脳萎縮の画像所見
※通常のMRI(T2強調)では所見のないものであっても,「T2*強調」「磁化強調画像
(SWI),テンソル画像では軽傷頭部外傷を検出できる可能性がある。
(3)認知障害・行動障害・情動障害(人格変化)が生じていること
日常生活状況報告や神経心理学的検査で、認知障害・行動障害・情動障害(人格変化)が生じ
ていることを明らかにする必要がある。
・知能検査=ウェクスラー成人知能検査(WAIS-Ⅲ),
=長谷川式簡易認知症スケール改訂版(HDS-R)
=ミニメンタルステート検査(MMSE)
・注意検査=かな拾いテスト
=TMT(トレインメイキングテスト)
・記憶検査=三宅式記銘力検査
・遂行機能検査=ウィスコンシンカード分類テスト(WCTS)
以上
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