後遺障害の等級認定
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繰返しになりますが,交通事故の損害賠償金額は,後遺障害の等級によって大きく変わります。
そのため,事故直後の早い段階から専門家に相談し,適切な等級認定を受けるための準備を進めることが極めて重要です。
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① 適切な治療,検査を受ける
適切な後遺障害認定を受けるためには,医療機関で適切な治療や検査を受ける必要があります。
ただし,医師は「治療の専門家」ではありますが,「賠償の専門家」ではありません。
そのため,後遺障害認定について詳しくご存じでない先生や誤解されている先生もおられます。
例えば,依頼人の主治医の先生から「治癒していないことをわざわざ証明するような検査を行わない」と言われ,後遺障害診断書の準備で苦労したこともあります。
弁護士は,「治療の専門家」ではありませんが,「賠償の専門家」です。
そのため,後遺障害の等級認定を念頭に入れ,想定される等級に応じて必要な検査や証拠収集等についてアドバイスできます。
② 適切な後遺障害診断書を作成してもらう
後遺障害の等級認定では,医師に「後遺障害診断書」を作成してもらい,保険会社を通じて損害保険料率算出機構(損保料率機構)の調査事務所に提出し,申請します。
損保料率機構の調査は,後遺障害診断書をはじめとする書類審査がほとんどですので,医師に作成してもらう後遺障害診断書や経過診断書が極めて重要になります。
そのため,後遺障害診断書や経過診断書は,できる限り具体的にかつ細かな点まで自身の症状について伝え,記載していただくようにすることが重要です(ただし,一貫性・整合性が大前提です。)。
後遺障害認定に備えて,どのような検査を受け,どのような後遺障害診断書を作成してもらうか等については,できるだけ早いタイミングで専門家にアドバイスを受けられることをお勧めします。
※後遺障害診断書を書いてもらえない場合
後遺障害の認定を申請するため,治療を行っていた病院に診断書の作成をお願いしたが,断られたというご相談を受けたことがあります。
しかし,医師法19条2項は「診察をし…・た医師は,診断書…・の交付の求があった場合には,正当の事由がなければ,これを拒んではならない。」と診断書の交付義務を明確に定めています。
そのときの医師は,「トラブルに巻き込まれたくないから。」という理由で後遺障害診断書の作成を拒否されていました(過去にトラブルがあったそうです。)。
しかし,弁護士がクライアントに同行して医師と面談し,クライアントが適正な賠償を受けるために診断書が必要であると説明したところ,理解して詳細な診断書を作成してくださいました。